
一つの器を選ぶ理由に、開発者の名前まで必要だろうか。多くの場合、答えは要らない。だが、HASAMI PORCELAINだけは別だ。この器の背景には、一人のデザイナーの生き方そのものが埋め込まれている。無骨余白がこのブランドを選び続ける理由は、その生き方と、無骨余白自身が大事にしたい価値観が、驚くほど重なっているからだ。
- 篠本拓宏氏という人物
- 生まれるべくして生まれた、という必然
- 「急がず、着実に」という哲学と、無骨余白の「余白」
- おまけ: 無骨余白が扱う31点
- ORIGINAL COLLECTION(半磁器)
- MUG CUP HP019(Sサイズ) ¥2,750
- MUG CUP HPB019(Sサイズ・ブラック) ¥2,750
- マグカップ M 375ml HP020(ナチュラル) ¥3,300
- マグカップ M 375ml HPB020(ブラック) ¥3,300
- MUG CUP HPM020(Mサイズ・グロスグレー) ¥3,300
- MUG CUP HP021(Lサイズ) ¥3,850
- マグカップ L 450ml HPB021(ブラック) ¥3,850
- マグカップ L 450ml HPM021(グロスグレー) ¥3,850
- マグカップ HPM019(北欧風) ¥2,750
- BOWL HP010 ¥6,050
- BOWL HPB010 ¥6,050
- ボウル φ22cm HPM010(グロスグレー) ¥6,050
- Bowl φ145mm(3 COLOR) ¥2,750
- ボウル ディープラウンド(14.5cm・18.5cm、全3色展開)
- Round Bowl Black(2点セット・ふるさと納税) ¥30,000
- Plate φ185mm(3 COLOR) ¥2,750
- プレート φ18.5cm HPB003(ブラック単色) ¥2,750
- プレート φ18.5cm HPM003(グロスグレー単色) ¥2,750
- Plate φ220mm(3 COLOR) ¥4,400
- HASAMI PORCELAIN 大皿 φ220mm ¥3,300
- タンブラー 350ml ¥1,650
- ウッデントレイ HP025 ¥10,450
- THE GRAY COLLECTION(磁器)
- まとめ
篠本拓宏氏という人物

1988年、篠本拓宏氏は家具メーカー・株式会社イデーに入社する。国内外のデザイナーとプロジェクトを組み、家具のディレクションとデザインに携わった13年間。この時期に培った「モダンデザインの語彙」が、後にHASAMI PORCELAINを生む土台になる。
2003年10月、妻の桂子とともにロサンゼルスへ移住。日本の工芸・クラフト・文化を伝える店「tortoise」を開業した。店名の由来は、亀という生き物そのものだ。急がず、着実に、地に足をつけて進む。速さや量が、必ずしも美しさや豊かさに直結するわけではない。「Slow and Steady」というデザインコンセプトを、店名そのものに込めた。2008年には、より生活雑貨に軸足を移した「tortoise general store」もオープンしている。
篠本氏の仕事は、HASAMI PORCELAINだけにとどまらない。2011年にHASAMI PORCELAINのブランドディレクションを手がけた後も、2015年に株式会社能作の「s/n」、2018年に日本香堂の「elemense」と、日本の伝統技術を現代のプロダクトへ変換する仕事を続けている。日本の技術を、日本のためだけでなく、世界の生活者に向けて再編集する。それが篠本氏の一貫した仕事のかたちだ。
生まれるべくして生まれた、という必然

HASAMI PORCELAINが特別なのは、その生まれ方にある。
波佐見焼は、もともと分業制・量産型の産地だ。江戸時代から、日用品として手に取りやすい価格帯を築いてきた。一点物の芸術品ではなく、暮らしの中で使い倒される器。この産地の性質こそが、HASAMI PORCELAINのミニマルな「引き算のデザイン」と噛み合った。
イデー出身の篠本氏だからこそ、波佐見焼を「工芸品」ではなく「プロダクト」として再定義できた。伝統工芸としての情緒ではなく、量産技術という産地の強みを、そのままデザインの美学に転換する。この視点の転換こそが、篠本氏の仕事の核心だ。
HASAMI PORCELAINは、2011年にアメリカで先に発売された。日本での発売は、その2年後、2013年のことだ。この順序は偶然ではない。海外から評価された日本のものづくりを、日本人自身が新鮮な目で見直す。逆輸入という経路そのものが、計算された構造だった。安物でもなく、高級でもない価格帯に落とし込めたことも、この設計の一部だ。
器のモジュール設計は、重箱から着想を得ている。日本の生活に当たり前にあった入れ子式の器という発想を、8.5cm・14.5cm・18.5cm・22cm・25.5cmという規格に統一し、マグもカップもボウルもトレイも、蓋にも受け皿にもなるように再構築した。日本人にとって当たり前すぎて、誰も気づかなかった機能美。それを、外に出た視点が発見し、形にした。
「急がず、着実に」という哲学と、無骨余白の「余白」

篠本氏が店名に込めた「Slow and Steady」という哲学は、無骨余白が大事にする「余白」「経年変化」という価値観と、そのまま重なる。急いで手に入れて、すぐに消費するものではない。使い込むほどに、艶が増し、色が変わり、自分だけの表情に育っていく。器を選ぶという行為に、時間をかける意味がある。
無骨余白というブランドのあり方も、篠本氏のアプローチと構造が似ている。既にある優れたものを、無骨余白というフィルターを通して再編集し、届ける。篠本氏が波佐見焼という産地の力を再編集してHASAMI PORCELAINを生んだように、無骨余白もまた、既存の商品を選び、文脈を与え、届け直す仕事をしている。HASAMI PORCELAINを選ぶことは、単に良い器を選ぶことではない。同じ思想を持つ仕事に、敬意を払うことでもある。
おまけ: 無骨余白が扱う31点
ここからは、無骨余白のROOMで扱う31点を、素材・コレクション単位で紹介する。
ORIGINAL COLLECTION(半磁器)
半磁器という、磁器よりわずかに温かみのある素地。長崎県波佐見町、400年続く陶磁器産地の量産技術が生んだシリーズ。
MUG CUP HP019(Sサイズ) ¥2,750
φ85×H72mm、325ml。長崎県波佐見町、400年続く陶磁器産地の量産技術が生んだ一客。
Sサイズという言葉には、控えめな響きがある。でも、325mlは実は絶妙な容量だ。エスプレッソには大きすぎず、たっぷりのカフェオレには少し物足りない、その「少し足りない」がちょうどいい。
一杯を飲みきる前に、もう一杯淹れたくなる。その小さな欲求こそが、朝のコーヒータイムを長引かせる。忙しい朝にこそ、あえて小さなマグを選ぶという逆説がここにはある。
MUG CUP HPB019(Sサイズ・ブラック) ¥2,750
φ85×H72mm、325mlのSサイズ。艶を抑えたマットな黒が、手のひらに馴染む。
朝、コーヒーを淹れて、このマグを両手で包む。艶のない黒は光を反射しないから、湯気だけが静かに立ちのぼって見える。派手さのない色は、忙しい朝にも、何も考えたくない夜にも、同じ顔で寄り添う。
一つのマグを長く使うということは、その日々の気分をすべて受け止めてもらうということでもある。派手な柄のマグでは、その日の気分に器の方が主張してしまう。このマグは、何も主張しない。だからこそ、毎日使える。
マグカップ M 375ml HP020(ナチュラル) ¥3,300
φ85×H89mmという規格に、Sより一回り深い器体を持つ、ナチュラル色のMサイズ。
土そのものの色というのは、実は一番選びやすい色でもある。白でも黒でもグレーでもない、この中間色は、木製の家具にも、白い壁にも、どんなインテリアにも馴染んでしまう。迷ったら、まずこの色を選べば間違いがない。
375mlという容量は、コーヒーにも紅茶にも、スープにも対応する万能なサイズだ。一つ持っておけば、その日の気分に応じて中身を変えられる。器を選ばず、飲み物を選ぶ。そんな使い方ができる一客だ。
マグカップ M 375ml HPB020(ブラック) ¥3,300
ORIGINAL COLLECTION(半磁器)。φ85×H89mm、375ml。釉薬をかけない、砂岩のようなマットな質感。
他のHASAMIの黒とは、手触りが違う。釉薬をかけていないこのマグは、指で触れると、砂岩のようなざらつきをかすかに感じる。艶やかな器が多い食卓の中で、この一客だけが違う空気をまとっている。
375mlという容量は、コーヒーにも、ほうじ茶にも、どちらにも合う。艶のない黒は、光の反射で目立つことがない分、飲み物そのものの色を静かに引き立てる。派手さのない道具ほど、実は長く手放せなくなる。
MUG CUP HPM020(Mサイズ・グロスグレー) ¥3,300
φ85×H89mm、385ml。THE GREY COLLECTIONより一回り深い器体を持つ、半磁器のマグ。
Sサイズで物足りず、Lサイズでは持て余す。そういう中間のちょうどよさを探している人は、意外と多い。385mlは、朝のコーヒーにも、午後の紅茶にも、どちらにも顔がきく容量だ。
半磁器という素地は、磁器よりわずかに温かみのある質感を持つ。冬の朝、両手で包んだときにわかる、あの硬質すぎない手触り。一つのマグに一日に何度も手を伸ばすなら、その手触りは意外と大事な選定基準になる。
MUG CUP HP021(Lサイズ) ¥3,850
φ85×H106mm、445ml。シリーズ最大の器体に、土そのものの色を残した一客。
白でも黒でもない、生成りの色。この色は、朝の光にも、夕方の陰りにも、極端な表情の変化を見せない。どんな時間帯のコーヒーも、このマグの中では同じように穏やかに見える。
445mlという大きな容量に、主張のない色を選ぶ。それは、量にはこだわりたいが、見た目には静かでいたいという、ちょっとした矛盾を叶えてくれる選び方だ。何杯もお代わりしたい日も、ゆっくり一杯を味わいたい日も、この生成りの器はどちらの気分も黙って受け止める。
同じ形の黒(HPB021)と並べて棚に置くと、その日の気分でどちらを手に取るか迷える。迷えるということ自体が、この器がもたらす小さな余白だと思う。
マグカップ L 450ml HPB021(ブラック) ¥3,850
φ85×H106mmの器体に、マットな黒をまとわせた一客。Lサイズ、450ml。
このシリーズの中でも最大級の容量を持つマグだ。取っ手の角度は、大きな器体を安定して持てるよう、わずかに角度がつけられている。カフェオレボウルの代わりに使う人もいれば、スープマグとして使う人もいる。
黒という色は、実は「何にでも使える」という機能的な理由でも選ばれる。コーヒーのシミも、スープの油膜も、黒の上ではほとんど目立たない。美しさと実用性が、静かに両立している。
マグカップ L 450ml HPM021(グロスグレー) ¥3,850
ORIGINAL COLLECTION(半磁器)。φ85×H106mm、450ml。艶のあるグレー釉、通称「クリア」。
朝、まだ頭がはっきりしない時間帯に、このマグでコーヒーを飲む。艶のあるグレーは、朝の白い光を受けて、静かに反射する。派手な輝きではなく、ただそこにあるだけで、目を覚まさせてくれるような静かな存在感だ。
450mlという容量は、二杯目を淹れる手間を省いてくれる。思考がまだ整わない朝ほど、手間は少ない方がいい。このマグ一つが、その日の最初の数十分を、少しだけ整えてくれる。
マグカップ HPM019(北欧風) ¥2,750
長崎県波佐見町、400年続く陶磁器産地の量産技術が生んだ一客。半磁器の柔らかな質感が、北欧のデザインを思わせる佇まいをまとう。
HASAMIの器は、和のイメージだけでは語れない。このマグの丸みを帯びたフォルムと、控えめな艶感は、北欧の陶器が持つ簡素な美しさとどこか重なる。波佐見焼という和の技術が、遠く離れた北欧の美意識と自然に響き合う——そのこと自体が、この器の面白さだ。
国や様式を超えて、「シンプルであること」が持つ普遍的な魅力を、このマグは静かに証明している。
BOWL HP010 ¥6,050
φ220×H55mm。素地の生成り色をそのままに残した、口径22cmのボウル。
白でも黒でもない、土そのものの色。この色は、どんな料理にも喧嘩を売らない。トマト煮込みの赤も、青菜のおひたしの緑も、生成りの上に乗ると、なぜか本来の色より美しく見える。
料理を美味しく見せる器というのは、実は「主張しない器」のことだ。このボウルは、何十年台所に置いても飽きが来ない。それは、器自体が「自分を見てほしい」と思っていないからだと思う。
BOWL HPB010 ¥6,050
φ220×H55mm。マットな黒をまとった、深さのある浅鉢。
カレーもパスタも丼も、本当は皿より鉢の方が向いている。汁気を受け止め、具材を真ん中に寄せ集められる。それなのに世の中の器は、なぜか平たい皿ばかりが主役になる。
このボウルを食卓に置いた日から、盛り付けに迷わなくなる。カレーを注げば黒がルウの照りを受け止め、パスタを盛れば麺の量がちょうどよく見える。一人分の夜ご飯が、急に「ちゃんとした一皿」に変わる。浅い皿を何枚も持つより、この一つを持つ方が、暮らしは軽くなる。
ボウル φ22cm HPM010(グロスグレー) ¥6,050
φ220×H55mmの規格に、艶を残したグレー釉をかけたボウル。光を受けて、静かに輝く。
マットな質感の器が多いHASAMIのラインナップの中で、この艶は異質だ。艶があるということは、それだけ光を拾うということでもある。窓際に置けば、外の光を受けて器の縁が淡く光る。何も盛っていない状態でも、絵になる器というのは、実はそう多くない。
大きめの22cmという口径は、サラダボウルとしても、鍋の取り分け皿としても使える懐の深さがある。艶やかな灰色は、緑の野菜も、茶色い煮物も、どちらも品よく受け止める。
Bowl φ145mm(3 COLOR) ¥2,750
同じ器でも、二つとして同じ表情がない。半磁器という素地が持つ、硬質な質感のボウル。
味噌汁を注ぐにも、小鉢のおひたしを盛るにも、145mmという口径はちょうどいい。3色から選べるので、家族の人数分だけ違う色を揃える、という使い方もできる。
半磁器は、磁器のように均一に焼き上がらない。窯の中の位置や温度差によって、一つ一つに微妙な違いが生まれる。工業製品でありながら、一点物のような表情を持つ——それがこのボウルの静かな贅沢だ。
ボウル ディープラウンド(14.5cm・18.5cm、全3色展開)
深さのあるまるみを帯びたフォルムに、14.5cmと18.5cm、ナチュラル・グロスグレー・ブラックの組み合わせ。
φ14.5×H9cmという小ぶりな寸法は、一人分の副菜やスープにちょうどいい。φ18.5×H9cmは、通常のボウルより丸みを帯びたフォルムで、麺類やカレーもゆったりと受け止める。同じ形なのに、サイズが変わるだけで役割がまったく違ってくる。
ナチュラルは土そのものの色を残し、グロスグレーとブラックは艶やかな光沢をまとう。艶のある器は、そこに液体が入った瞬間、表面に光を映し込む。スープを注げば、湯気だけでなく、器そのものが呼吸しているように見える瞬間がある。
同じ形を色違い・サイズ違いで複数持つというのは、無骨余白らしい選び方だ。一つに絞らず、その日の気分や料理によって、丸みの表情を選べる自由を残しておく。
Round Bowl Black(2点セット・ふるさと納税) ¥30,000
深さのある漆黒のボウルが2つ、食卓に並ぶ。
一人の夜なら、片方は今日のスープに使い、もう片方は器のまま棚に眠らせておく。誰かが来る夜なら、両方に同じ料理を盛って、静かに向き合う。2つという数には、「今日は何人分の夜か」を選べる余白がある。
黒という色は、料理の輪郭を消さない。むしろ具材の色を引き立て、皿の中の主役をはっきりさせる。値は張るが、一生使う器を選ぶという意味では、この重みは正しい重みだと思う。
Plate φ185mm(3 COLOR) ¥2,750
一人分の食事に、ちょうどいい大きさ。HP003・HPB003・HPM003、3色から選べるプレート。
大皿でも小皿でもない、その中間のサイズがどれだけ便利か、実際に使ってみるまで気づかない。トーストとサラダを一緒に乗せても、余白が窮屈にならない。夜、乾きものとチーズを並べて、ワイン片手に眺める夜食にも、ちょうどいい。
3色から選べるというのは、単に好みの問題ではない。朝食用には白を、晩酌用には黒を、というふうに、時間帯によって使い分ける楽しみ方もできる。一枚の皿が、一日の中で複数の顔を持つ。
プレート φ18.5cm HPB003(ブラック単色) ¥2,750
ORIGINAL COLLECTION(半磁器)。18.5cm径、マットなブラック単色。
飾らない黒、というものがある。艶を持たず、ただ深く沈んだこの黒は、日常で使い倒すことを前提に作られている。特別な日のための皿ではなく、平日の夜、何度も繰り返し手に取るための皿だ。
夜、炒め物を一皿だけ乗せて、それだけで済ませる日がある。そういう日にこそ、このタフなフォルムが似合う。丁寧な食事も、手抜きの食事も、同じ器で受け止めてくれる。夜を静かに整える相棒として、この皿はいつも食器棚の手前にある。
プレート φ18.5cm HPM003(グロスグレー単色) ¥2,750
半磁器という、ちょうどいい重さ。艶のあるグレー一色をまとった、18.5cmのプレート。
単色であるということは、実は一番難しい選択でもある。柄や絵付けがない分、フォルムと質感だけで美しさを語らなければならない。このプレートは、艶やかなグレー一色で、それを静かに成立させている。
朝食のトーストを乗せても、夜のおつまみを並べても、この皿は常に「脇役でいながら主張を持つ」という難しいバランスを保つ。多くを語らないからこそ、料理の主役を邪魔しない。それが、単色であることの強さだ。
Plate φ220mm(3 COLOR) ¥4,400
22cmという、ちょうどいい大きさ。3色展開のプレート。
メインディッシュを盛るには少し小さく、副菜には少し大きい——そういう「帯に短し襷に長し」を、22cmという寸法は絶妙に回避している。ハンバーグもパスタも、余白を残しながら盛れる。
食卓に3色を並べて使う人もいる。同じ形の皿が色違いで並ぶ様子は、家族それぞれの「自分の皿」を無言で決めてくれる。誰のものかで揉めない食卓は、意外とこういう小さな工夫から生まれる。
HASAMI PORCELAIN 大皿 φ220mm ¥3,300
大皿というものは、たいてい持て余す。来客用にしまってあるだけで、一人の食卓には出番がない——そう思っていた人にこそ、この皿を見てほしい。
φ220mmという寸法は、実は「一人分にちょうどいい大きさ」として設計されている。ワンプレートで主菜と副菜を並べても余白が残る。その余白こそが、盛り付けを雑に見せない秘訣になる。
平日の夜、炒め物と冷奴と漬物を一枚に並べる。洗い物は一枚で済み、食卓には妙な充実感が残る。大皿を「特別な日のもの」から「毎日のもの」に変える、そんな一枚。
タンブラー 350ml ¥1,650
光を透かす、重厚な沈黙。ガラスのタンブラーに、水を注ぐ。
水を注いだだけで、なぜかその水がいつもより美味しく見える。冷たい麦茶を注げば、グラスの表面に浮かぶ水滴まで、絵になる。
コップという最も日常的な道具にも、選ぶ余地はある。安いガラスコップを何個も持つより、この一つを丁寧に扱う方が、水を飲むという行為そのものが少し豊かになる。
ウッデントレイ HP025 ¥10,450
波佐見焼の器に合わせる、木のトレイ。アッシュ材とウォールナット材、2つの表情から選べる。
磁器の器蓋やトレイ、両方の用途で使える柔軟さを持つ。朝、パンとコーヒーをこのトレイに乗せて運ぶだけで、ワンプレートの朝食が急に様になる。磁器だけの食卓は硬質になりがちだが、木が一枚入るだけで、その硬さがやわらぐ。
アッシュ材は明るく軽やかに、ウォールナット材は深く落ち着いた表情になる。どちらを選ぶかは、部屋の光の色や、普段使っている家具の色味で決めればいい。一万円を超える買い物だが、毎朝の食卓に使うものだと考えれば、決して高い投資ではない。
商品を見る ¥10,450
THE GRAY COLLECTION(磁器)
磁器という素地が、半磁器のORIGINAL COLLECTIONとは違う硬質な質感をまとう。Ash White・Dark Gray、2色展開のシリーズ。
Mag Cup Dark Gray(HDG119/HDG120) ¥2,750
磁器のTHE GRAY COLLECTIONから、H72mmとH89mmの2サイズ。
黒より柔らかく、グレーより深い。この色を言葉にするのは難しいが、コーヒーを注いだ瞬間にわかる。液体の色を邪魔せず、それでいて存在感を消さない、絶妙な塩梅の色だ。
夜、電気を落としてキャンドルだけの食卓にすると、このグレーが一番きれいに見える。派手な色は暗闇の中で浮いて見えるが、ダークグレーは闇に溶けながらも、そこにあることをちゃんと主張する。
Richlite Tray Dark Brown(HRN122-126) ¥2,750〜
リッチライトという素材に、Dark Brownという色をまとわせたトレイ。5サイズ展開。
木のようで木ではない。紙を熱硬化性樹脂で圧縮したこの素材は、木の温かみを残しながら、水や熱に強いという実用性を兼ね備えている。朝食を並べて運ぶにも、来客時のコースターとしても、5サイズあるから用途を選ばない。
トレイという道具は、実は「見せる収納」の役割も果たす。玄関に置いて鍵とお香を並べる、寝室でアクセサリーを収める。食卓の外でも、この一枚は静かに働き続ける。
Richlite Tray Black(HRS122-126) ¥2,750〜
再生紙と熱硬化性樹脂を重ねたリッチライトという素材が、磁器とは違う表情を見せる。黒、5サイズ展開。
艶やかな黒は、光の反射を受けて表情を変える。真上からの光では鈍く、斜めからの光では艶やかに。同じトレイなのに、置く場所や時間帯によって、まったく違う顔を見せる。
小さいサイズは香水や指輪を置く小物トレイに、大きいサイズは複数のグラスをまとめて運ぶ盆になる。5つのサイズを暮らしのあちこちに配置すれば、家全体に「整える」という所作が染み渡っていく。
Plate Ash White(HAW101-105) ¥1,100〜
φ85mmから255mmまで、5サイズを展開するTHE GRAY COLLECTIONのプレート。
小皿から大皿まで、同じ色・同じ質感で揃えられるというのは、実は珍しい贅沢だ。取り皿はφ85mm、副菜にはφ145mm、メインにはφ220mmと使い分けても、食卓に統一感が生まれる。
一つのブランドで揃えるということは、食卓の「言語」を統一するということでもある。バラバラの器が並ぶ食卓は賑やかだが、揃った器の食卓には、静かな緊張感がある。無骨余白が大事にしたいのは、後者の緊張感だ。
Plate Dark Gray(HDG101-105) ¥1,100〜
THE GREY COLLECTION、磁器。Φ85mmから255mmまで5サイズ、高さはわずか1.2cm。
薄い皿には、薄いなりの仕事がある。この皿の役目は、主役になることではなく、主役を静かに支えることだ。1.2cmという薄さは、料理を盛ったときに皿自体の存在感を極限まで消す。目に入るのは、料理の色と形だけになる。
小皿一枚選ぶだけで、食卓の完成度は変わる。漬物や薬味を、コンビニの容器のまま出すか、この皿に移し替えるか。その一手間の差は、味には影響しないが、食卓の空気には確実に影響する。脇役に徹しながら、主張しすぎない——このダークグレーが持っているのは、そういう類の自信だ。
Shallow Bowl Ash White(HAW107-111) ¥1,650〜
Φ85〜255mmの5サイズ展開。Ash Whiteという単色釉薬をまとわせた、浅いボウル。
深すぎるボウルは、汁物専用になりがちだ。この浅さは、サラダにも、麺類にも、和え物にも、器用に対応する。深さがないぶん、盛った料理の全体がひと目で見渡せるという利点もある。
5サイズを重ねて棚にしまうと、その姿だけで美しい。使わないときの佇まいまで含めて、この器は「見られること」を意識してデザインされている。
Shallow Bowl Dark Gray(HDG107-111) ¥1,650〜
磁器という素地が、半磁器のORIGINAL COLLECTIONとは違う硬質な質感をまとう。Dark Gray、5サイズ展開。
磁器特有の、指で弾くと澄んだ音がするあの硬さ。半磁器の温かみとは対照的に、こちらは涼やかで凛とした印象を食卓に与える。同じHASAMIでも、素地が違えば、こんなにも性格が変わる。
夏の食卓には、このダークグレーの涼やかさがよく似合う。冷やしたトマトや素麺を盛れば、器の冷たさが視覚的にも伝わってくる。季節によって主役の器を替える、という楽しみ方もできる。
まとめ
いかがだっただろうか。
HASAMI PORCELAINという名前と、あのグレーの器のデザインは、多くの人がどこかで目にしたことがあるはずだ。それでも、長崎・波佐見町の400年続く窯業地から、なぜロサンゼルスのデザイナーの手によって、あの佇まいが生まれたのか——その背景まで知っている人は、意外と少ないのではないだろうか。
素敵なものには、たいてい素敵な物語が隠れている。器の裏側を少しだけ覗いてみると、いつもの食卓に並ぶ一枚の見え方が、きっと変わってくる。
HASAMI PORCELAINは、朝の一杯から夜の一皿まで、暮らしの輪郭を整える器だ。飾らず、使い倒し、自分だけの表情に育てていく。31点それぞれに役割があり、集めるほどに食卓の余白が濃くなっていく。
今日の一杯を、どの器で迎えるか。それを選ぶことから、もう物語は始まっている。


コメント